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世界のメッセージングアプリ事情 ~WhatsAppやメッセンジャー、WeChat、LINEの歴史と勢力図から今後の展望まで~

2017.01.29 RESEARCH

メッセージングアプリといえば、日本ではLINEを想像する方が多いのではないでしょうか?

モバイル端末で、テキストメッセージのチャットや無料通話が可能です。グループで使うこともできます。写真を添付したり、ビデオチャットをしたり、テキスト以外にも楽しめます。

無料もしくは有料のスタンプで、視覚的な感情表現ができるコミュニケーションツールとしても親しまれています。

また、サードパーティーのサービスと連携して、音楽のダウンロードやゲーム、商品の配達依頼やレストランなどの予約、電子決済にも対応するようになりました。コミュニケーションツールだけでなく、さまざまなビジネスのプラットフォームとして拡大しつつあります。

ところで、メッセージングアプリにはLINE以外にもさまざまな製品があります。日本では王道のLINEですが、実は世界第1位のシェアではないことをご存知でしょうか?

早速、世界のアクティブユーザー数ランキング(2016年1月現在、Statistaによる調査)を見ていきましょう。

ユーザー10億人を超えるWhatsApp、LINEは7位

507-world-user-share.png.PNGまず、トップ3を見てみましょう。

シェアトップは「WhatsApp」です。2016年1月の時点で、世界中で9億人ものユーザーを抱えています。続く第2位は、中国産の「QQ」で8億6,000万人。そして第3位は「Facebook Messenger」の8億人となっています。この調査結果発表の直後、WhatsAppは無料化して10億人突破を発表しています。

首位のWhatsAppは、2014年に220億ドルでFacebookに買収されました。したがってメッセージングアプリを展開しているリーディングカンパニーは、実質的にFacebookといえそうです。WhatsApp+Facebook MessengerとQQに続くメッセージングアプリが、中国製の「WeChat(微信:ウィーチャット)」。現在、企業ベースでは、ここまでが世界シェアのトップスリーといえます。

WeChatのユーザー数は6億5,000万人です。統計では、5万人を超えるメッセージングアプリのサービスはWeChatまでとなっています。これを追うのがSkypeで3億人のユーザーがいます。

ここで、ようやくLINEが登場します。2億1,200万人のユーザー数は世界的に見ると7位となり、シェア上位陣とは大きな差があることがわかります。日本で圧倒的なシェアを誇るLINEですが、世界的に見れば現時点ではマイナーなアプリということになります。

SMSからBlackBerry、そしてモダンアプリへ ~メッセージングアプリの歴史~

メッセージングアプリの起源は、1992年のSMS発明が発端といえそうです。その後、AOL、Yahoo!、MSNなどの大手ポータルサイトが、相次いでチャットのサービスを立ち上げました。1999年には早くも中国のQQが無料公開で産声を上げています。その後、Skypeが登場します。

507-history.png.pngiPhoneの発表される2007年以前に話題を集めていたのが、BlackBerry用のBBM(BlackBerry Messenger)です。常にメッセージを確認しなければ落ち着かない、そんな中毒者を生むほどの人気を得た人気端末です。そんなBlackBerryは、オバマ前大統領が愛用していたことでも話題となりました。

その後、WhatsAppやKakao Talkなどがリリースされますが、大きな動きがあったのは2011年。Facebookでメッセンジャーが使えるようになったこの年、時を同じくしてLINE、WeChat、Viberが相次いで登場します。これらのサービスは、日々ユーザー数を増やして拡大していきました。

世界中でアプリが生まれ、シェア獲得に凌ぎを削った群雄割拠の時代を経て、現在のトレンドは既存アプリの買収といえそうです。FacebookがWhatsApp、楽天がViberを傘下に収めるなど、ここ最近アプリの買収が盛んに行われています。すでに高いシェアを持つメッセージングアプリを取り込むことにより、自社ビジネスとのシナジー効果や新規事業拡大による成長を目指しているのです。

アメリア、アジア、ヨーロッパ ~各国で分かれるアプリ事情~

次に、世界のアプリ事情を見渡してみましょう。メッセージングアプリの勢力は、アメリカやヨーロッパとアジアで分かれます。もちろん多言語に対応してグローバルに展開しているアプリがほとんどとはいえ、お国柄があり国際色が豊かです。

アメリカで使われているアプリは1位がFacebook Messenger、2位がWhatsAppです。Tango、MessageMeも人気のアプリです。Tangoは2009年にシリコンバレーで生まれたアプリで、高画質のビデオ電話やゲームに人気があります。MessageMeは、2012年にサンフランシスコで登場しました。送信する画像に絵を描けます。さらに、カナダ生まれのKiKも若者の間でシェアを広げています。

一方、アジアに目を向けると、日本・タイ・台湾ではLINE、中国ではQQ、韓国ではKakao Talkと傾向が分かれます。インドネシアのような新興国では、まだスマートフォンの普及途上の地域も少なくありません。このような地域では、フィーチャーフォンやBlackBerryの利用者が依然として多いことから、WhatsAppやBBMがシェアを伸ばしているのです。

507-geographical-user-distributioon.png.png日本トップシェアのLINEは、いまやユーザー数6600万人を誇り、3人に2人が毎日使うアプリです。LINE公式アカウントやLINEビジネスコネクト、LINE@と、ビジネス向けのサービスも充実させています。さらにLINEは、2014年より、クレジットカード、コンビニエンスストア、提携銀行と連携したLINE Payを開始。2016年にはJCBと連携して、LINE Payカードによる電子決済も展開を始めるなど、積極的な事業展開を見せています。

中国のQQは、正式には「??QQ(テンセントQQ)」といい、ブログやSNS機能のQ-Zon、アバターのQQ秀などユニークな機能があります。QQを展開しているテンセントは、2011年に「WeChat(微信)」をリリース。こちらは、本国中国という1国にして巨大な人口を背景に、3億人以上のユーザーを獲得する人気アプリです。

ヨーロッパに転じて、EUを引っ張るドイツも見てみましょう。実は、2014年にWhatsAppがFacebookに買収されたとき、セキュリティやプライバシーの流用を懸念したドイツユーザーが、一気にWhatsApp離れを起こしたことがニュースに取り上げられました。Facebookに不信感を抱いたユーザーは、スイスのメッセージングアプリThreemaになだれ込むようにして移行。このため、当時Threemaのユーザー数は24時間で倍増したとも伝えられています。

スペインでは91%がWhatsAppの利用者で、Facebook Messengerが29%、LINEは1%というデータがあります。同様にフランスもLINEの利用者は1%。Facebook Messengerが19%、WhatsAppが17%となっていて、日本の文化に関心の高いヨーロッパとはいえ、LINEは苦戦しているようです(2013年7月現在、Onavo社による調査)。

ロシア生まれのメッセージングアプリもあります。Telegramです。2013年創業の後発ではありますが、機密性の高さが評価されています。

メッセージングアプリが世界で爆発的に普及した理由

メッセージングアプリは、もはや人々の生活インフラにまで育っています。

仕事や学校が忙しくても、遠く離れて住んでいても、早朝でも深夜でも昼休みや移動時間でも、アプリひとつで家族や友人とつながることができます。

かつてEメールの登場は、人々のコミュニケーションを大きく変えました。ただ、Eメールは、いわば手軽に出せ、瞬時に届く手紙や宅配便です。とはいえ、Eメールの送信には、件名と本文が必要です。画像やファイルを添付して送ることもできますが、少し煩雑でかしこまったコミュニケーションです。そのような性格も相まって、ビジネス向きのツールといえます。

それに対して、メッセージングアプリによるテキストチャットは、文字通り、距離も時間も気にせずできる人々の会話そのものです。チャットは、「おはよう」「大変だね」「よかったね」といった一言で成り立ちます。メールと異なり、互いのやりとりがひと目でわかり、そこに写真や動画を埋め込むこともできます。手紙のようなかしこまったやりとりではなく、まさに普段使いの自然なコミュニケーションです。

私たちの生活では、家族や友人との日々のやりとりが大半を占めます。そんなチャット(会話)を支えるメッセージングアプリが世界で爆発的に広まったのは自然な成り行きと言えます。

メッセージングアプリのこれからは?

先述の通り、最近の動向では、規模が大きくなったアプリが大手企業に買収される傾向が目立ちます。これは、端的にいえば「ビジネスチャンス」を獲得するためです。

今後、メッセージングアプリは、単なるコミュニケーションツールの枠を超え、人々の生活とますます密着した生活インフラになっていきます。

アプリを通じてショッピングをしたり、飛行機の切符を手配したりと、次第に生活のコントロールセンターに変わっていきます。このとき、対応する相手は人間とは限らず、人工知能を搭載したチャットボットかもしれません。

企業から見れば、メッセージングアプリは最高のマーケティングツールになります。テレビCMに変わって、ネット広告がシェアを伸ばして来ましたが、これに続くのはアプリ広告です。ユーザーの性別や年代から家族構成、趣味嗜好といった属性情報がますます活用されるようになっていきます。ターゲティング広告を出せば、いわば刺さるマスメディアにもなるのです。

メッセージングアプリが今後どのような機能をもち、進化を遂げ、変貌していくかは、時代を映し出す鏡そのものとなるでしょう。

Posted by

mm
石井 智宏 モビルス株式会社 代表取締役

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