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2017.01.10 TIPS
カスタマーセンターはデジタルコミュニケーションチャネルの拡大により、この10年で大きな進化を遂げました。今では企業に寄せられる問い合わせのうち、32%がSMS、チャット、ソーシャルメディア、メールなどのデジタルチャネルによるものだというデータもあります。このカスタマーサポートのデジタル化にあたっては「人工知能型対話ロボット」のチャットボットが特に相性が良いとされ、普及が見込まれています。
「人工知能が進化すると、人々から仕事を奪う。その筆頭がコールセンターのオペレーターの仕事だ。」とよく言われてきました。
しかし、現実に起こっていることはその逆です。少子高齢化が進む日本中で起こっていることは、オペレーターの人手不足です。
つまり、チャットボットはコールセンタービジネスにとっての脅威ではなく、むしろ救世主になる可能性があるのです。
顧客の問い合わせの過半が、ウェブサイトに掲載した「よくある質問」で解決できるケースはよくあります。ただ、残念ながら、顧客の多くはよくある質問を自ら進んで検索してくれません。
そこで、チャットボットにFAQシステムを連携させ、FAQを自動応答するチャットボット「FAQボット」にします。このFAQボットは、うまく使うとかなりの問い合わせを自動応答で解決し、オペレーター負担を減らすと同時に、顧客満足度も高めることができます。
アスクルの通販サイト「LOHACO」のチャットボット「マナミさん」は、日本を代表するFAQボットの成功事例です。顧客から寄せられる問い合わせの3分の1に当たる件数を自動で処理し、すでにオペレーター6.5人分の仕事を担っています。
チャットボットを最大限に活用し、オペレーターは、丁寧な有人サポートが必要な顧客応対やクレーム処理に注力して、顧客満足度を高めることが今後のコールセンターに求められていくはずです。
カスタマーセンターやコールセンターに電話すると、冒頭で「お客様番号は?」「ご登録の電話番号と生年月日は?」「ご使用されている商品の製品番号は?」など個人や利用製品・サービスを特定する質問があり、確認プロセスの間しばらく待たされることがよくあります。
一方、チャットボットを利用したカスタマーサポートでは、ユーザーの利用するチャネルはスマートフォンやウェブブラウザです。電話と異なり、スマホやウェブブラウザは個人特定がしやすいコンタクトチャネルです。
例えば、スマートフォンの企業アプリからの問い合わせはもちろん、LINEやFacebook Messenger等のメッセージングアプリ、パソコンからでもウェブブラウザのキャッシュなどから個人の特定が可能です。
チャットでの問合せ時点で個人特定を完了させることによって、電話の冒頭で必要な本人確認プロセスをチャットサポートでは省略できるわけです。
迅速な対応が望まれるカスタマーサポートにおいて、本題に入る前の本人確認のわずらわしさが解消できれば、顧客満足度アップにつながります。
さらにチャットボットと顧客管理システム(CRM)を連携させることで、顧客の顧客情報や過去のやりとり、サービス利用状況等に応じた自動応答も可能になります。個々のニーズ合わせた、より高度なサービスを実現することができます。
カスタマーサポートに利用されるチャットボットのうち、最も注目を浴びている企業のひとつがKLMオランダ航空です。KLMオランダ航空は2016年3月、Facebook Messenger初となるボット型パーソナルアシスタントを稼働させました。
KLMオランダ航空のユーザーは、同社のホームページからチケットを購入する際、Messenger 経由で情報を受信するよう選択すると、Messenger経由で航空券の購入、予約変更、チェックインの確認、搭乗券の提示、フライト情報のチェックなどが行えるようになります。
Messengerの1つのスレッド内で航空会社のすべてのサービスを受けられるということです。もちろんチャットボットには回答できないような複雑な問い合わせがある場合には、オペレーターと話すという選択肢も提示してくれます。
KLMオランダ航空には、毎週100,000件のメンション(主にTwitter上で用いられる「@(ユーザー名)」の形式を含んだツイート)が寄せられるといいます。顧客からの問い合わせは週に15000件。同社はこれらに24時間体制、10か国語で対応しています。あらゆるオンライン顧客にサービスを提供するというのが同社の方針です。
そして現在はDigitalGeniusのGPUアクセラレーションによるAIを自社のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)ツールに直接組み込む試みをしており、システムが実用化されれば、ディープラーニングを行うAIがリアルタイムでオペレーターを支援できるようになります。
「DigitalGeniusの実践的なAIを採用したKLMは、次の段階のカスタマーサービスで何ができるのか、オペレーターをどう支援できるのかを示す先例となった」とDigitalGeniusの社長Mikhail Naumov氏が語るとおり、コンタクトセンターにおけるチャットボットは、まだオペレーターの代わりを果たすにはいたっていません。
つまりチャットボットの役割は、オペレーターとのスムーズな連携を図ることです。チャットボットがコンタクトセンターのプラットフォームにしっかりと組み込まれていれば、オペレーターは複雑な案件のみに集中できるようになります。そしてチャットボットが処理に困る状況が発生した段階で、直前までのやり取りや情報をすべて踏まえたうえで担当を引き継げばいいのです。
究極の理想形は、顧客の対話している相手がチャットボットなのかオペレーターなのか区別がつかないことだと言えるかもしれません。
未来の理想はさておき、現時点においては、自由文の入力を受けて返答するようなチャットボットに機械学習をさせて公開するのは時期尚早です。
悪意のあるユーザーによって、チャットボットが虚偽の情報や差別的/性的表現など不適切な入力値を学習し、他のユーザーへの回答で使用して問題を起こしてしまう可能性が高いためです。
現時点で機械学習が役に立つのは、入力値がきちんと管理されている場合です。例えば、ECサイトの「こんな商品もいかがですか?」というサジェスト機能は、ユーザー本人や他ユーザーの過去のページ閲覧・購入履歴等をもとにして、購入の可能性の高い商品を提示する機能です。
このような機能では、学習に使用する入力値が確実にコントロールされているため、機械学習が威力を発揮し、すでに十分に実用化されています。
また、テキストメッセージによるサポートを行うようなチャットボットの場合には、その応答ベースとなる内部的なFAQデータ生成に機械学習を活用することができます。ある質問に対して適切な回答を行うための、質問と回答の組み合わせを機械学習させるのです。
人工知能やCRM/FAQシステムとの連携によって自動応答を可能にする、コール/コンタクトセンター・顧客サポート向けチャットシステムです。
チャットボットによる「自動対応モード」とオペレータによる「有人対応モード」の切り替えも簡単。ボットに一次受け対応を任せることで、オペレータによる丁寧な二次対応も可能になります。
また、チャットボットは、顧客からの一時的なコール集中やオペレータの急な離席にも対応可能。「モビエージェント」の採用により、顧客満足度の向上、オペレータストレスの低減、放棄呼の削減や応対効率の改善が実現できます。
チャットシステムの導入検討や活用事例等についてご質問やご相談がありましたら、モビルスまでお気軽にお問い合わせください。
また、多国籍チームで新しいチャットシステムを開発するエンジニアの仲間も募集しておりますので、お気軽にご連絡の上、一度オフィスにも遊びに来てください。