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世界で開発が加速化するチャットボットの進化の軌跡 ~元祖ELIZAの誕生から、オープンソースのA.L.I.C.Eまで~

2016.10.24 RESEARCH

チャットボットってなに?

チャットボットとは、LINEやFacebook Messengerなどのチャットツール上で、ユーザからのメッセージ送信に対して自動応答を実現するしくみです。

チャットボットの“ボット”は“ロボット”の略称。つまり、チャットをする相手は人間ではなく、あたかも人間のように応対してくれるプログラムなのです。

このサービスにより、チャットで宅配便の配達依頼やピザの注文などができるだけでなく、コンシェルジュのような存在となり、自分の趣向や興味に合わせたニュースを選んでまとめたり、おすすめの商品をリスアップしてくれたりと、わたしたちの生活をより快適に、そして便利にしてくれます。

チャットボットの元祖「ELIZA」の誕生

最近話題のチャットボットですが、その歴史は想像以上に古いものです。チャットボットの初期型と言われるELIZA(イライザ)は1966年にジョセフ・ワイゼンバウムによって発明されました。

ELIZAは、簡単なパターンマッチング技法を使った自然言語処理プログラムでした。患者役のユーザーが入力するスクリプトに対して、セラピストを装った応答をする「DOCTOR」とよばれる来談者診断会話シミュレーションが有名です。どのような会話か例を見てみましょう。

User: I am feeling depressed. (落ち込んでいます)
ELIZA: How long are you feeling depressed? (いつごろから落ち込んでいますか?)

とても自然なやりとりですが、種を明かしましょう。

実は、ELIZAには、”I am feeling xxx”(xxxの気分です)というキーワードに対して、”How long are you feeling xxx?”(xxxの気分なのはいつごろからですか?)という決まった応答をするようルールが組み込まれているのです。

ただし、ひとつのキーワードに対して複数のパターンがデーターベースにあるため、それを順番に選ぶことにより、同じ応答が繰り返されないように制御されています。

ユーザーのスクリプトにキーワードが見つからない場合には、“それは興味深いですね。続けてください。”もしくは、“もう少し詳しく説明していただけますか?”といった当たり障りのない応答を返します。一見賢そうですが、たとえ英語以外の言語や意味をなさない文章を入力した場合でも、このような定型応答を返してしまうという弱点がありました。

当初、ELIZAが見せた感情のこもった応答に人々は驚き、感銘を受けました。しかし、一見すると成立しているような人とのやりとりは、その実、まだプログラムによる言葉遊びのレベルだったのです。とはいえ、ELIZAの登場によって浮き彫りとなった問題を解決すべく、その後次々とチャットボットが開発されていきます。もう50年以上も前に誕生したELIZA。彼女は現代のチャットボットに続く長い道のりを真っ先に歩き始めた、革新的な先駆者に違いありません。

意見を持つELIZA、PARRYの登場

精神科医として人間と対話したELIZAとは対照的に、1972年に精神科医のKenneth Colbyにより開発されたPARRYは統合失調症の患者の振る舞いをモデル化して作られました。

PARRYの基本的なプログラムはELIZA同様、キーワードをデータベースから検索し自動的に返事をするというものでした

ただ、ELIZAは話の聞き役であったのに対し、PARRYは自分の信念、恐怖、心配ごとなどについて触れることにより積極的に相手を会話に引き込むようプログラムされていました。そのため、“意見を持つELIZA”と呼ばれたのです。

そして1972年、おもしろい実験が行われました。医師であるELIZAと患者であるPARRYとの会話が実現したのです。チャットボットの元祖ELIZAと、より革新的に進化したPARRYという、2つ(2人?)のチャットボットが出会った瞬間でした。果たして両者のやりとりはうまく成立せず、滑稽な会話に終わってしまいます。

ELIZAとPARRYで行われたやりとり

転載元:http://www.theatlantic.com/technology/archive/2014/06/when-parry-met-eliza-a-ridiculous-chatbot-conversation-from-1972/372428/

ローブナー賞に輝いた、JABBERWACKYとA.L.I.C.E.

時代は変わり、続いて登場したのはJABBERWACKYでした。Rollo Carpenterによって、1988年に開発されたJABBERWACKYは、人と楽しく会話をすることを目的として作られたチャットボットです。

それまでのチャットボットがデータベースにある既存の情報から応答パターンを選択していたのに対し、JABBERWACKYは人間との対話を通して言語と文脈を学習し、新たな応答を作成することができました。ただ、人間が話題を頻繁に変えたり、急に別の話を始めた場合にはうまく対応ができず、会話が成立しないことが多くありました。

その後、改良が施され、膨大な会話からのデータを蓄積したJABBERWACKYは、2004年のローブナー賞(人工知能として最も人間に近いと判断されたチャットボットに与えられる賞)において2位を獲得するまでに進化(後発のA.L.I.C.E.に敗退)。さらに続く2005年、2006年には、それぞれJABBERWACKYのキャラクターであるGeorgeとJoanがローブナー賞の1位に輝きました。

JABBERWACKYのイメージ

転載元:http://www.jacksofscience.com/math/interview-with-ai-chatbot-about-ai/

続いて、1995年に誕生したのがA.L.I.C.E.(Artificial Linguistic Internet Computer Entity)です。A.L.I.C.E.は、Richard WallaceによりAIMLというXML を応用したマークアップ言語を使って書かれたオープンソースのプログラムでした。ELIZA同様、パターンマッチング技法を使い会話をするA.L.I.C.E.ですが、オープンソースであったことも助け、対応できるルール数を飛躍的に増やすことに成功。ELIZAが備えていた応答ルールは200種類でしたが、A.L.I.C.E.には実に200倍、40,000ものルールが備わっていました。その後に開発されるチャットボットの基礎といえるプログラムとなったA.L.I.C.E.は、2000年、2001年、2004年にローブナー賞を受賞しています。

A.L.I.C.E.と人とのやりとり

転載元:http://ddeubel.edublogs.org/podcasts/

このように開発されてきたチャットボットは、コンピュータサイエンスの発展により、学習能力をもつ人工知能を使ったプログラムの開発により新たな進化を遂げました。

2000年初めのスマートフォンの普及により人工知能の開発がさらに加速し、携帯電話で動くSiriやGoogle Nowなども利用できるようになりました。今年に入ってからは、LINEやFacebookが相次いでチャットボットを開発・提供できるサービスを導入し、さらに注目が高まっています。ますます開発が盛んになるチャットボットの進化に目が離せません。

チャットボットの進化の軌跡

1966年 チャットボットの元祖、ELIZAの誕生 – ジョセフ・ワイゼンバウム博士が発明したイライザ(ELIZA)の自動応答が人々を驚かせる
1972年 PARRYが初めてチューリングテストに合格 – 統合失調症の患者役のPARRYとセラピスト役のELIZAとの対話が実現
1988年 音声でのチャットボット、JABBERWACKY発表 ? 学習機能をもつボットと会話を楽しめるようになる
1995年 オープンソースのA.L.I.C.E.の公開 ? その後に続くチャットボットの基礎となる
2010年 スマートフォンで動くSIRIの誕生 ? 携帯電話で利用できることによりチャットボット利用者が劇的に増加する
2012年 GOOGLE NOWの発表 – スマホがますます便利に

モビルス株式会社について

チャットボットによる自動応答を可能にする、コール/コンタクトセンター・顧客サポート向けチャットシステム「モビエージェント」を開発しています。

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ボットによる「自動対応モード」とオペレータによる「有人対応モード」の切り替えも簡単。チャットボットに一次受け対応を任せることで、オペレータによる丁寧な二次対応も可能になるチャットツールです。

また、チャットボットは、顧客からの一時的なコール集中やオペレータの急な離席にも対応可能。「モビエージェント」の採用により、顧客満足度の向上、オペレータストレスの低減、放棄呼の削減や応対効率の改善が実現できます。

チャットシステムの導入検討や活用事例等についてご質問やご相談がありましたら、モビルスまでお気軽にお問い合わせください。

また、多国籍チームで新しいチャットシステムを開発するエンジニアの仲間も募集しておりますので、お気軽にご連絡の上、一度オフィスにも遊びに来てください。

Posted by

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石井 智宏 モビルス株式会社 代表取締役

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